この『みのりの森』は、まりぱか先生自身が「暗い」「超暗い」「鬼暗い」の三拍子が…というほど「暗い」要素のズシンと効いたシリアスなBLマンガです。
良作なのですが、気軽に「オススメだよ」というには迷いがあり、割と…いや結構重ためなテーマだと思ったので【閲覧注意】としました。
【閲覧注意】
この作品は自殺に絡んだお話です。
友人の死を二人で乗り切ろうとする話となっている為、孤独を感じている方、自殺という言葉に敏感な方、身近な人や著名な人の死からまだ立ち直れていないなど精神状態に不安要素のある方は、ストーリーに同調しすぎて号泣するなど、更に不安定な状態になる可能性があります。
閲覧する際には十分注意して読み進めてください。
自己判断になりますが「大丈夫！問題ない」という方には、是非オススメしたい一冊です。
少し固めの出だしになってしまいましたが、親友の自殺と向き合う『みのりの森』をややネタバレ気味にレビューします！
まずは、カップリングから～。
大号泣する！？『みのりの森』のカップリング
優しい純朴青年
×
謎多き美青年
（攻）昌典（まさのり）
主人公。
田舎育ち。人が好き。
優しいというより、怒らない性格。
大型の子供。
幼馴染の慎太郎に恋愛感情を抱いていた。
慎太郎からの最後の電話に出れなかったことを悔やみ続けている…。
（画像:『みのりの森』p10より）
（受）渋谷実（しぶやみのる）
謎の美青年。
慎太郎の友人（東京で出会う）。
甘やかすこともあれば、突き放すこともある、白黒はっきりした優しさタイプ。
アルバイト経験が豊富。
昌典に会いに来た目的は…。
（画像:『みのりの森』p15より）
もう一人…、
ストーリー前半で、意図的に顔を見せない描き方をされていたのでここでも同様に、自殺した二人の友人を紹介。
慎太郎
小学生の時からの昌典の幼馴染。
昌典の知る彼は、面白く、賑やかで、真面目な男。
（画像:『みのりの森』p19より）
所有している紙書籍の『みのりの森』の帯には「号泣必至！！」と大きな文字で書かれていましたが、ネタバレついでに書いておきます。
「号泣」するのは昌典と実の二人です！
この号泣を、どう受け止め、どう感じるかは人それぞれ。
ほろりと涙するか、つられて大号泣するか…。
めぐる私は切なくて喉が痛くなった…
涙はギリ大丈夫だった！
ということで、『みのりの森』のあらすじを見てみましょう。
幼馴染との別れ『みのりの森』のあらすじ
『みのりの森』
著者: まりぱか
出版社: 株式会社幻冬舎コミックス
初版: 2021年10月24日
何も心配しないで。
背表紙より引用
今日あった悲しいこと、
全部、出しちゃいましょ。
上京していた親友・慎太郎の、突然の訃報——。
葬儀の夜、手伝いをしていた昌典のもとに、慎太郎の友人だという見知らぬ男、実が現れる。
しばらく家に泊めることになった昌典は、その日から実と身体をかさねるようになるけれど…。
幼馴染で親友の慎太郎が自殺した——。
事態を受けとめきれないまま、身内だけの葬儀の手伝いに駆り出された昌典は、ただの里帰りくらいに思い走り回る子供の相手に追われる。
「オソーシキってなん？」
無邪気な問いかけ。
「死ぬとお化けになってあいにくるげん」
お盆の言い伝えと怪談がごちゃ混ぜになったようなことをいう子供。
「それならうれしいなぁ」
と昌典は答えます。
そんな中、家族葬だから身内しか呼んでいないと言っても退かず、昌典を呼んでくれという見知らぬ青年が…。
「生前、慎太郎さんには東京でお世話になりました」
死因も知っているという渋谷実と名乗る青年を、昌典が葬儀に参列させたのは、慎太郎からの電話に気づけなかった罪悪感か、それとも送る友人が自分しかいないという寂しさからなのか…。
思いがけない、幼馴染との別れ。
めぐる形だけでなく、一緒に心から慎太郎の死を悲しんでくれる人が、昌典には必要だったのかもしれませんね…
みけうさ切ない
この後、二人は四十九日までの時間を共に過ごすことになるわけですが、慎太郎の死の真相、実の目的、昌典の秘めた恋…、山深い田舎町で二人は慎太郎の死とどう向き合っていくのか、私が惹かれた『みのりの森』の見所をレビューします！
折り重なる謎と嘘『みのりの森』の３つの見所と感想
『みのりの森』は、昌典と実の楽し気な暮らしの合間に、謎と嘘が折り重なるように挟みこまれた、読み応えのある作品です。
見所も盛り沢山！
実の嘘と秘密
渋谷実は何故、昌典に会いに来たのか…。
一人たたずむ姿。
表情に見える焦燥感…。
一通り読み終わって、序盤のこのページを再び見たとき、実の表情がとても思いつめたものに見え、グッときました。
ただ単に、葬儀に参列したい、手を合わせたいというだけなら、わざわざ昌典を呼びだす必要もなく、二人が顔を合わせることもなかった。
実は何の為に昌典のもとに訪れたのか、隠していることは何なのか…。
慎太郎の母とのやりとりも含め、実の隠してきたことが明らかにされていく過程と人との絆を感じる部分が見所です。
実の行動の謎
昌典にだけではなく、ご近所さんとも順調に打ち解けていく実ですが、一人の時は少し様子が違っています。
「不眠症治療薬」と書かれた錠剤、畑仕事もないのに泥に汚れる靴、山林のあちこちで見つかる謎の穴…。
何か企みが？？とドキドキさせられるミステリアスな展開も見所です。
必要不可欠な交わり
葬儀の夜、悪夢にうなされる昌典を起こした実は、昌典の抱えていた後悔を知ります。
もしかしたら、昌典はこのとき初めて涙を流し、親友・慎太郎の死を実感したのかもしれないと思いました。
死を知ってから、いなくなってしまったことを実感するまで、少し時間がかかるということ…私自身、経験したことがあるので、おそらくそういうことなのだろう、と。
慰めるような実からのキス。
二人の身体の関係は、このときから始まります。
お互いの脆さを補い合うような、慎太郎がいなくなったこれからを残された自分たちが生きていくために必要不可欠な交わり…。
めぐる人肌効果とでもいうのかな
お互いの体温がもたらす安心感が二人には必要だったのかも
みけうさまりぱかセンセの描く泣き顔がヤバイ
貰い亡きしちゃう！
身体を重ね、言葉を交わすにつれ、互いに惹かれ合っていく二人、見所です！
自ら命を絶ってしまった親友の死と向き合う、センシティブだけど優しさも感じられる『みのりの森』はどんな方にオススメかまとめてみました。
まりぱかの『みのりの森』はこんな人にオススメ！
主人公が、自殺した親友の葬儀を手伝うところから始まっている『みのりの森』は、「しんどい内容だったら無理かも」と警戒気味に読み始めたら、読み進めるほどにグッときて感動できてしまったというオススメの一冊です。
展開の辛さにグッと喉が詰まりそうな場面もあるけれど、悲壮感なくホッコリした気分で読み終えることができる作品、ちょっと気になりませんか？
自殺した友人の死を乗り越えようとする二人の葛藤、心情の変化や、周囲の人の温かさなど、丁寧に描かれているので読み応えがあります。
ガツンと心に響くドラマティックなBLを読みたい方にオススメです！
主人公たちは、号泣します…。
どうにかして慰めたいと思わずにはいられないくらいの大号泣。
苦難を乗り越え頑張る姿に感動したいという方にオススメです！
お互いを求める優しさ、見てて切なくなるような身体の関係。
「やばい、ちょっと泣きそう」と思ってしまうSEXシーンって、なんか良さげだと思いませんか？
甘く切ない二人の関係を見守りたいという方にオススメです！
ただ、最初にも書きましたが、身近な人の自殺とどう向き合うかというストーリーなので、センシティブな話が苦手な人の好みからは外れていると思います。
なぜ慎太郎が自殺したのか、その原因やそこに至るまでの経緯は一切描かれていないので、全てのことが明らかにされることを望む方の好みからも外れているかもしれませんね。
また、慰め合う二人の関係は、がっつくような激しいBLを求めている方の好みからは外れていると思います。
突然現れた謎の美青年と共に、親友の死を乗り越え前に進もうとする『みのりの森』は、どこで読めるのか調べてみました。
無料で読める？マンガ『みのりの森』
単巻なので無料はないだろうと思いつつも、やはり読むなら「できるだけ安く、できれば無料で…」と思うので調べてみましたが、『みのりの森』を無料で読める電子書籍サイトは見つかりませんでした。
今回、確認したサイトは合計13サイトですが、『まんが王国』と『dブック』では『みのりの森』の取り扱いの確認ができませんでした。
取扱いの確認ができている11サイトは、全て電子限定おまけ付きで配信されています。
ebookjapan
コミックシーモア
U-NEXT
BookLive
AmazonKindle
Amebaまんが王国（取扱い無し）dブック（取扱い無し）
DMMブックス
楽天Kobo
コミック.JP
honto
BOOK☆WALKER
『ebookjapan』の初回登録クーポンなら6回分が70%OFFで購入できるので、まだ登録されてない方であれば、『みのりの森』もお得に購入することが可能です。
この初回クーポンは、金曜日のキャッシュバックと併用することで、最も安く購入することができます！
ということで、『みのりの森』についてまとめてみますね。
まとめ
まりぱか先生の絵が好きで、特に情報を入れることなく購入した『みのりの森』は、念のためではありますが【閲覧注意】とした自殺という「鬼暗い」テーマを介して、作者からのメッセージ性がある辛いけど温かい号BLマンガでした。
『みのりの森』
電子書籍
紙書籍
号泣必至と言われるこの作品は「何年もプロットだけはあった」とあとがき（何故か本文の前半部）でまりぱか先生が書かれていますが、発売されたのは2021年10月。
そう、いわゆるコロナ渦の真っ只中というタイミングです。
この発売の約一年ほど前には、人気俳優の自殺が相次ぎ、多くの人が心を痛めたことは記憶に新しい…。
乗り越えるためのエールとして、あえてこの時期に発売したのかどうかは分かりませんが、より強いメッセージとして私の心には響きました。
死との向き合い方や人の優しさを、亡き親友をめぐる二人の恋を通じて教えてくれるような、読み応えありの『みのりの森』、是非皆さんにも楽しんでいただきたいです！
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